第1章 4月
「それより、ご用件は?」
「なんか、嫌だ。その敬語」
「敬語は癖なんですよ」
「貴女私のお・く・さ・ん~」
「は・・・い」
奥さん・・・なんとも言えない気分です。
それよりも、ご用件は・・・?
「そろそろ花見の季節でしょ?一緒に行かないかと思って」
「ダメですよ~」
確かに、一緒に見られたらいいなって、思ったりします。
でも、だからってお昼に・・・まずいでしょ。
「いいじゃない。世間は私に彼女がいること知ってるよ?」
そう。
あっという間にばれてしまったんですよ。
この二か月の間に・・・。
でも、やっぱり芸能界は芸能界。
すぐに消えてしまったんですよね。
今でも変わらず和也君は皆さんに愛されてます。
「でも、真昼間には・・・まずいのでは?」
「じゃあ、夜行きましょう。夜桜ってやつ・・・」
覗き込んでくる和也君。
「・・・はい」
負けました。
「どうしたの?そんなかわいい顔して」
「和也君っ!?」
「ふふっ」
惨敗です・・・。