第11章 2月
すっかり慣れた朝御飯作り。
形の変なホットケーキでも、和也君は食べてくれる。
相葉さんにあげようとか考えてたら、お見通しでした。
「あーおさん」
私のホットケーキを焼いていたら
和也君が私を誉めて呼んだ。
「なんですか?」
「ハッピーバレンタイン」
「あ」
そうでしたね。
タルトをあげないと。
よく覚えていましたね和也君。
何だかんだ待っていてくれたのでは?
ハッピーバレンタインなんて、言われたことないですし。
「あーおさん」
「はい!」
嬉しくって、一端ホットケーキ中止。
タルトの出番です。
私は冷蔵庫からタルトを取り出した。
チョコレートが固まっていることを確認してから、小さな袋に包む。
黄色のリボンと紙袋。
「緊張しますね」
「そう?」
それを持って和也君の前に着く。
それから、昨日考えた言葉を。
「和也君。私はアイドルの二宮和也君も、夫さんの和也君も大好きです。女優さんみたいにかわいくもないし、和也君にはもったいない人間ですが、こらからもよろしくお願いします!
「ひどく言い過ぎ」
「でも~」
「かわいいですよ」
「え!?」
「あおさんはどこの女優さんよりもかわいい。あーもう!こんなこと言わせないでよね」
「ごめんなさい!」
それでも嬉しい。
『どこの女優さんよりもかわいい』
そう願いたいものです。