第10章 1月
「私も何かお手伝い・・・」
「あーー大丈夫ですから。どうぞゆっくりしててください」
キッチンに立つ加藤さんをそろそろと戻した。
「ほら」
私が指差す先には・・・
トントントントン
今にもまな板から煙が出そうな速さで準備する知恵ちゃん。
こんなに家庭的なのにね
なんで女の子に見えないかな?(笑)
「みたい・・・ですね」
「そうです」
私でさえ出番がないかんじなんです。
怪我でもしたらいけないでしょ?
「じゃあ、待ってますね」
「はい。すみません」
腰がどんどん曲がってく。
こんなに素敵な人と和也君の方が
お似合いなのに・・・。
「はーあ」
「どうした?」
手の速さとはうって変わっての優しい口調。
「はーあ」
「え?」