• テキストサイズ

アイナナ夢

第24章 Rey18


18

万理さんが社長に報告しに行って数時間後。
私は衝撃的な話を聞くことになる。

「ミュージックフェスタで上手くいけば俺たち全員でメジャーデビュー。上手くいかなければソウとタマだけでデビューだってさ」
『なにそれ…』
「これでも社長に掛け合ったんだぜ?最初はミュージックフェスタの話すらなかったからな」
『タイミングが味方してくれたんだ?』

あの電話が助け舟になったんだ…。
チャンスは掴まないと意味がないし、断る理由もないはず。

「ま、そうだな…」
『どうかした?』
「なんか…まともに喋るの…久しぶりな気がしてさ」

大和さんの声が詰まる。
言われてみればそうなんだけど…忙しいし。
私自身も避けてた節もある。そんなことは本人には言わない。

『私も頑張らなきゃって思っててね』
「お前さんは頑張らなくてもいいんだぜ?」
『それは出来ないよ』
「どうして?」
『大和さん達やあの人に追いつけなくなる』
「あの人って?」

うっかり口が滑った。
でもきっといつかは知られるんだろうと思う。
だって…楽に私の事情を全然教えていないから。
答えないで黙っていると、大和さんが近づいてくる。口を割るまで引かないやつだ…!

「お兄さんが知ってる人?」

ラビチャも見られてしまってるし、下手に隠したら面倒かもしれない。
言える範囲で言ってしまったほうが今後のためかも。

『が……八乙女』
「八乙女って…まさかTRIGGERのか?」
『………うん。でもアイドルだって知ったのはほんと最近で』
「あんなに売り出してるのにか?」
『スカウトされるまでアイドルに興味なかったし…楽も教えてくれなかった』

今思えば、私を芸能界に近づけないようにしていたのかもしれない。
考えすぎかもしれないけど。

「なんかムカつくわ」
『なんで?』
「こっちの話」

そう言って大和さんが部屋から出て行く。
一体何しに来たんだろう。

『あの件…社長に聞いてみよう』

私は身なりを整えてReyになる。
あの話は…音無零ではなくReyの話だから。




◇◇◇




そう言えば、1人でReyとして事務所を歩くのは初めてだ。
いつもは大和さんがいてくれたけど、私はソロなんだから1人で対処しなくちゃダメなんだ。

「Reyさん!」
『あ、陸』

/ 117ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp