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アイナナ夢

第37章 Rey28


28

大和さんに流されて即興で芝居をすることになってしまった。
しかも万理さんと紡さんと言う観客付きで。
こうなったらヤケだ。女子生徒になりきってみせる。

「音無、放課後に呼び出して悪かったな」
『私に何か用?二階堂先生』
「用がなきゃ呼んじゃダメか?」
『ダメって先生が何言ってるの』
「お前が仮病使ってここに来るなんていつものことだろ?」

なかなかベタな設定で来たか。
と言うことは、生徒の方も気がある設定かでいいかな。

『だって授業つまんないし…先生と話してる方が楽しいもん』
「お前さ、大人を勘違いさせるようなことしない方がいいぞ?」
『……先生に勘違いしてほしいから』
「卒業まで待ってられなかったのか?」

レンズ越しに見える熱を持った目で大和さんが私を見つめる。
その目ヂカラに耐えられずに私は目を逸らした。

「黙ってちゃ分からないぞ」
『ずるいよ…』
「何がずるいって?教えて、零…」

柔らかい口調で言う大和さん。
大和さんの大きな手が私の頭に触れる。
芝居だってわかってるのに恥ずかしくなって来た。

『その気がない癖に…わ、私…、私だけ、勘違いしてるみたいで…その…わた、し二階堂先生が…す、っ?』
「…ん、それ以上はこれで我慢な」
『ぇ?』

え、今、大和さん…?
ひ、額にき、キスしなかった…?

「っと、こんなもんでしょ」

私から離れてケロっとしている大和さん。
ど、どど、どうしよう…恥ずかしい。

「大和さんすごいですね!私ドキドキしちゃいました」
「大和くんもだけど、音無さんもお芝居出来てるよね?初めてとは思えないよ」
「完璧に恋する女子生徒でした。きゅんとしちゃいます」

去年まで一応学生だったわけだから、高校生ぐらいなら出来るとは思った。
でも私、初恋もまだだから…少女漫画知識みたいな…これで良かったのかな。

「零にも素質はあると思ってんだよね。ん?おーい零ちゃーん?」
『な、何…』
「まだ顔赤いな?もしかして本気にしちゃった?」
『だ、誰が本気になんか……』

ドキドキしたのは事実だけど。
大和さんの本気は怖いってことならわかった気がする。

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