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アイナナ夢

第36章 Rey27


27

翌日、私は今まで通り事務所に出社しようとした。
どうもうまく出社はさせてくれそうになかった。

『何これ』

事務所の入り口に見たことがない人が数人。
どうやら正面出入り口は鍵をかけているらしくてそこからは入れない様子だ。
その中の1人が私に気付いたらしい。

「も、もしかしてReyさんですか?」

はい、とは答えない方がいいかも知れない。
だって…今の私は音無零なのだから。

『違います…似てるみたいですけど…』
「ご、ごめんなさい。似てたのでつい…」

…どうしよう。嘘をついてしまった。
もしかしたらここにいる子達、私のファンなのだろうか。
自信過剰みたいでそうは思いたくないけど…これでは中に入りづらい。
仕方ないから裏に回ろう……。

「零さん来てたんですね」
『紡さん…あれはなんなんだろ…』
「Reyのファンみたいですよ。行動力すごいですいね」

所謂出待ちとか言う…むしろこれは出社待ち…?
いいのか悪いのやら…。

『ライブの出待ちとかは知ってるけど…ファンって事務所まで来ちゃうの?』
「全くないとは言えません」
『私も変装するようにした方がいいかな』

事務員スタイルをしていたせいでそれ自体が変装みたいなところはある。
逆を言えば、普段通りに出来ない。と言うことになる。

『困った』
「女性らしい格好続けましょう?」
『う、うん…』

女性らしいって…なんだろ。




◇◇◇



私がデビューしてから、アイナナのメンバーは更にやる気になったようだ。
そんな中、とある仕事の依頼が事務所に来た。

『え、大和さんにドラマの出演依頼?』
「あー。ちょっと興味ないなあ。他当たってくれない?」

興味ないって…表現力で言えば一番なのは大和さんなのに。
折角のチャンスを棒にふるいたいのかな。

「学園モノで殺される教師役だろ!?すげえぴったりだよ!」
「どうぴったりなんだよ」
『殺されるとかはともかく、教師役は似合いそうだけど』
「零に言われてもなあ…」
「零に似合うって言われてんのに揺るがないとかどう言うことだよ」

それは私が聞きたい。
私が言えば大和さんが言うこと聞くみたいなそんな空気だけど…どうしてこうなった?

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