第5章 真選組
~4時間後~
「よーしっ!やっと終わった!」
「終わりましたね……!」
雑談をしつつ、ようやく掃除が終わった。
綺麗に片付いた部屋に、銀さんと二人で寝転がる。
「片付けてみると、案外広いのね。この部屋」
「ふふふ、本当に有り難いです」
元々部屋自体は広いのだが、家具が棚と机しか置いていないために、余計に広く感じる。
「お部屋に何を置こうかな~♪
銀さんは、何がいいと思いますか?」
「んー、女の子だからなぁ……。花を生けるとか?」
「いいですね、お花!」
生けるなら、育てやすい花がいい。
育てやすくて、綺麗な花。
病室に飾ってあった花は、なかなか枯れなかった。
あれは、何と言う花だったか。
シュウメイギク、スイセン、ローズマリー……。
香りの強い、ユリの花も飾ってあった。
「綺麗に育ったら、銀さんにも差し上げますね」
「いや俺は、すぐに枯らしちまうから……」
「大丈夫です!枯れにくい花を探しますから!」
「ハハッ、そうかい。そりゃ有り難いね」
銀さんは笑いながら、よいしょ起き上がる。
私も銀さんに倣って、体を起こした。
「さて。そろそろ、お暇させてもらおうかな」
「あ。引き留めてしまって、すみません。有り難うございました」
「何の何の。そのうち、また遊びに来るわ」
「はい、ぜひ」
手伝ってもらったのに、今日は何のお礼もしていない。
次に銀さんが遊びに来たときに、お菓子でも買って改めてお礼しよう。
「あ、そういやさ……」
銀さんが真剣な顔で、私を見つめてきた。
「今日、ゴリラってここにいる?」
「いえ。近藤局長は不在ですが……」
おかしいな……と銀さんは難しい顔をする。
どうしたのだろうか。
「あの、何かあったんですか?」
「いや。多分、俺の思い過ごしだろ。気にすんな」
銀さんは、じゃあなと手を振りながら去って行った。
外はすでに夕焼け空。
銀さんとどれくらい一緒にいたのだろうか。
時間は、あっという間に過ぎていた。
「あれ?そういえば、山崎さんは……?」
フィギュアを持ち主に返したきり、戻ってきていない。
もしかしたら、山崎さんも出かけているのか。
「まぁ、どっちでもいいや」
私は再びごろんと寝転がると、ゆっくり目を閉じた。