第5章 真選組
翌日。
真選組の屯所に向かうと、山崎さんが笑顔で出迎えてくれた。
その穏やかな笑顔にほっと安心する。
山崎さんは優しくて、とても話しやすい。
山崎さんが出迎えてくれなかったら、ビクビクしながら屯所に入ることになっていただろう。
真選組って、なんか怖いから……。
「ごめんね。わざわざ来てもらって」
山崎さんが謝ってきた。
「いえいえ。あの、私が女中になることはすでに決まったのですか?」
「明石さんにその気があるのなら……だけどね。もちろん君に拒否権はあるよ」
「本当にいいんですか?私が働かせてもらって」
「そんな。働いてくれるなら、本当に有難いよ!」
面接も資格も無しで働けるのなら、断る理由などない。
真選組の女中になれば、衣食住にも困らないだろう。
「私、ここで働きたいです」
そう言うと、山崎さんはニコッと笑ってくれた。
「ありがとう。じゃあ、副長室まで着いて来てね」
屯所に入り、山崎さんの背中を追いかける。
廊下を歩くたびに他の隊士さん方から好奇の視線を向けられた。
何か、すごく恥ずかしい……。
ぺこり、と会釈だけ返し、早足で立ち去る。
「ここだよ」
山崎さんが部屋の前で立ち止まった。
ここが副長室なのだろう。
「山崎です。副長、明石さんを連れて来ました」
「入れ」
声が聞こえ、襖を開ける。
部屋の中では、土方さんが座って待っていた。
「失礼します」
一礼して、部屋に入る。
山崎さんも私と共に部屋に入り、襖を閉めた。
山崎さんもお話を聞くのかな……?
ちらりと山崎さんの方を見ると、目が合った。
そしてにこりと微笑まれた。
やっぱり、山崎さんは和むなぁ……。
ニコニコしていると、土方さんの咳払いが聞こえ、
背筋を伸ばした。
「今日からお前には、真選組の女中として働いてもらう。いいな?」
「はい、頑張ります」
「女だからといって、お前を甘やかすつもりは毛頭ない。覚悟しておけ」
「分かりました」
その後に土方さんから女中の仕事について説明を聞いた。
とりあえず、掃除、洗濯、炊事などの家事をすればいいのだ。
「女中は他にもいるから、分からねぇことがあったらそいつらに聞いてくれ」
「はい」