第3章 歌舞伎町
長谷川さんが今からパチンコ店に行くと言うので、
私は町を散策することにした。
公園から出てしばらく歩くと、歌舞伎町の中心街へとたどり着く。
ファミレス、居酒屋、パチンコ店の他にキャバクラやスナックが建ち並び、遠くにはターミナルが見えた。
子ども達が楽しそうに私の隣を走り去る。
町娘がお喋りをしながら、通り過ぎる。
昨夜とは違う、歌舞伎町の顔があった。
のんびり歩いていると、見覚えのある白いペンギンに出会った。
隣には黒髪ストレートヘアの男がいる。
「こんにちは、エリザベスさん」
私が声をかけると、エリザベスも気づいたようで
『あ、お前は昨日の!』とプラカードを出した。
「エリザベス、知り合いか?」
隣にいた黒髪男が不思議そうにエリザベスに尋ねる。
『昨日、空から降ってきたんですよ』
「空から…?」
ますます不思議そうな顔をする黒髪男。いろいろ聞かれたら面倒だから苦笑いして、話題をそらす。
「エリザベスさん達はこれからどこか行かれる予定なのですか?」
「いや、とくに予定はない。ただの散歩だ。貴殿は?」
「私は歌舞伎町の観光をしているんです」
「観光か。それならば俺が案内してやろう」
「本当ですか?ありがとうございます」
土地勘がないから助かった、と胸を撫で下ろす。
「俺は桂小太郎。貴殿の名前は?」
「明石紗奈です」
「紗奈、か。よろしく頼む」