第1章 プロローグ
「…というのが団長からの言葉だ」
その日の夜、トレーニングのあと、早速那美に神威の言葉を伝えた。
那美の傘を持つ手が震えている。
そして、ただ傘を見たまま考えている様子だった。
「…余計なことは考えるな。ただ、生きる為にすべきことだけを考えろ」
俺は那美を見ているのが辛くなり、背を向けながら彼女に言う。那美はそれでも傘を見つめたまま何も言わない。
苦しいのは、無理もない。だが、他に生きる道はない。彼女を生かすには、その決断をさせるしかなかった。
「何も、考えるなよ…」
それ以上、言えることはなかった。
部屋に彼女を残し、俺は部屋を出た。
あの時、俺は本当に他に方法はなかったのだろうかと、後々かなり後悔することになった。
ATOGAKI
阿伏兎目線楽しいけど、難しい…。
ヒロイン目線のが書きやすいし、ちょいちょいギャグ入れられたけれど、完全シリアスになっちゃう。