第2章 和…
俺はつい最近まで“家族“なんてものを、全く知らずに生きてきた。
俺には“家族”と呼べる存在がいないと、18になるまで思っていたから。
だから。かな…?
誕生日にいい思い出なんて、一つもない。
子供の頃は親戚の家を、たらい回しにされてたから、当然誕生日なんて祝って貰える筈もなく、中学に、上がって預けられた施設も、便宜上祝ってはくれたけど、その頃には素直に喜べる年を過ぎていた。
寧ろ“家族”なんて、必要ないとさえ思っていた。
でもそんな俺にも数年前、弟が出来た。
ちゃんと同じDNAを持って生まれた弟だ。
弟…潤は見た目超かっこいいのに、俺の前だと可愛いくなっちゃうやつでさ…
俺達は、所謂“恋人”って関係でもある。
潤は毎年俺の誕生日を祝ってくれる。
プレゼントだって、ちゃんとくれる。
俺はそれだけで十分幸せだった。
慣れてないから、あんまり表面には出さないけど、本当にそう感じてる。
潤は俺の誕生日が近づくと、必ず“実家”へと俺を誘う。
でも、俺はそれをずっと断り続けていた。
だって、俺の“母さん”て人は、確かに俺を産んだ人なのかもしれないけど、俺には写真でみる以外に、その人に関する記憶なんて、何も持ってはいない。
それに“実家”の家は、母さんが再婚した相手の持ち物であって、俺と再婚相手には何の関わりもないんだから、俺にとってそこは“実家”と呼べる場所ではない、そう思ってきた。