第1章 兄弟…
和也side
俺には生き別れになった弟がいる…
そう聞かされたのは俺が18歳の誕生日を迎えた時だった。
俺は親の身勝手な理由で児童養護施設で育った。
…と言っても小学校を卒業するまでは親せきの家をたらい回しにされ、施設に入所したのは中学進学を目前に控えた頃だ。
その施設では、18歳を迎えると同時に退所を言い渡されるため、施設の世話になったのは実質6年ってとこだ。
施設を退所する際、職員が持たせてくれた物の中に1枚の古びた写真があった。
仲良さげに写る4人の家族写真。
にこやかな笑顔で赤ん坊を抱く夫婦。
それが俺の両親だ、と職員は教えてくれた。
そして父親に抱かれている赤ん坊が、“俺“だとも教えてくれた。
で、母親に抱かれているのが、俺のたった1人の弟。
写真の裏にはご丁寧に、”和也2歳””潤1歳”と記されていた。
晴れて社会人となった俺は、その写真だけを頼りに、施設職員や、それまで疎遠になっていた親戚の手を借りながら、弟の行方を探すことにした。
そうして漸く探し出した弟、潤が今、俺の目の前にいる。