第10章 非対称…【Extra Edition】
毎年この時期になると決まってやって来る二人…
俺の彼氏の後輩で、恋人同士なんだけど、実は血の繋がった兄弟なんだ。
一見クールに見えるけど、実はけっこう乙女な弟潤くんと、色白で、見るからに華奢なのに、案外男らしいお兄さんの和くん…。
すっごく素敵で、お似合いなカップルで、俺はちょっとだけ羨ましさを感じてしまう。
だって、お兄さんの和くんは、俺と全く同じ誕生日で、血液型だって同じなのに、傍から見てもすっごく愛されてて…
それに比べて俺と来たら…
もう慣れっこなんだけどさ、誕生日忘れられるのはね?
でもさ…、でも…、なんだよな…
目の前で、同じ誕生日の人がお祝いされてたら、普通気がつくでしょ?
なのに、俺の彼氏と来たら…
「や〜、実にめでたい!」
ってさ…
俺…、全然おめでたくないんですけど?
他人の彼氏の誕生日祝うんだったら、自分の彼氏の誕生日祝ってくんないかなぁ…
「はあ…」
「な〜に、どうしたの溜息なんかついちゃって(笑)」
「なんでもないよ…。さっさと片付けちゃお?」
っていうかさ、雅紀のせいだってのに…
「はあ…」
俺はもう一つ溜息を落とすと、シンクに溜まったグラスと皿を、洗剤を染み込ませたスポンジで、一つ一つ丁寧に磨き始めた。