第87章 S・P・E・W
「本当に?ありがとう!」
クレアがそんなことを言っていたはずだと思い出した私に、ミアはお礼を言ってクレアを探しに行った。魔法薬学の授業ではセブルスは、解毒剤を研究課題に出した。
クリスマスが来るまでに、誰か生徒の一人に毒を飲ませて、みんなが研究した解毒剤が効くかどうかを試すと、セブルスがほのめかしたため、みんな真剣に取り組んだ。
「いいわね、ユウミは」
クレアが羨ましそうな声で私に言う。何がいいのか思い付かなかった私は、クレアに聞き返す。
『なんのこと?』
「呼び寄せ呪文よ。もう出来るんでしょう?」
『えぇーと...そうね...』
気まずく思いながらも答える。この前のときフリットウィック先生は、呼び寄せ呪文の授業に備えて、3冊も余計に参考書を読むように命じた。それのことを言っているのだろう。
私は呼び寄せ呪文は出来るため、そこまで真剣に読まなくても平気なのだ。一応読むつもりではいるが。生徒の作業を増やしたのは、ハグリッドもだった。
「まだ、誰も好物発見してないよね〜?」
「...そのはずよ」
尻尾爆発スクリュートは、何が好物かをまだ誰も発見していなかったのだが、驚異的な速度で成長していた。ハグリッドは大喜びで、課題の一環として、生徒が一晩おきにハグリッドの小屋に来て、スクリュートを観察し、その特殊な生態についての観察日記を付けることにしようと提案したのだ。
「僕はやらない。こんな汚らしいもの、授業だけでたくさんだ。お断りだ」
ドラコがきっぱりと言う。ハグリッドは、まるでサンタクロースが袋から特大のおもちゃを取り出すかのような顔をしていたところだった。しかし、ハグリッドの顔から笑いが消し飛んだ。
「言われたとおりにしろ。そうじゃねえと、ムーディ先生のしなさったことを、俺もやるぞ...おまえさん、なかなかいいケナガイタチになるっていうじゃねえか、マルフォイ」
グリフィンドール生が大爆笑した。とはいっても、私とクレアとエイミーは笑わなかったが。ドラコは、怒りで真っ赤になったが、口応えはしなかった。
「本音を言うなら、マルフォイに同意よ」
授業が終わり城に戻る途中、クレアがそう言う。
「私も〜だって怪我するよ〜」
『そうよね...私もあれは怖いわ』
私も二人に同意して、肩をすくめる。危うく、火傷を負うところだったからだ。