第85章 マッド・アイ・ムーディ
『どうって、これからは勉強だけじゃなく、お喋りだけの日もあっていいんじゃないかって。それで、今日はお喋りして帰ってきたわ』
「それって...!」
両手を口に当てて、まさかと言った感じのクレア。
『誤解ないように言っておくけど、寮が違うから会う約束しているだけよ?』
「でも、マルフォイとはしてないじゃない?」
『ドラコは幼馴染だもの』
私は、即答した。
「じゃあ、ハッフルパフの王子様のことはどうなの?」
『どうって...』
私は、そこで少し考えてから答える。
『仲のいいお友達よ』
自分で言っておきながら、どこかしっくりこなかった。クレアは納得いかない顔をして、今日のことを何かあったんじゃないかと私を問い詰める。なので、私は考えてからフレッドとジョージの話を出したときのことを話した。フレッドとジョージの話をしたときにセドリックが変な顔をしたのを思い出して。
「それって、嫉妬したんじゃないかしら?他の男の話題を出したから」
『まさか』
そこで、クレアとの話は終わった。ミアとエイミーが帰ってきたからだ。それからの2日間は特に事件もなく過ぎ去った。もっとも、ネビルが魔法薬学の授業で、溶かしてしまった大鍋の数が6個目になったことを除けばだが。
夏休みのあいだに、報復意欲に一段と磨きがかかったかのように見えたセブルスが、ネビルに居残りを言い渡した。そして樽一杯の角ヒキガエルのはらわたを抜き出す、という処罰を終えて戻ってきたネビルは、ほとんど神経衰弱状態であった。
「スネイプ先生ってどうしてあんなに険悪ムードなのかしら?」
「ムーディ先生のことでしょ〜?」
ハーマイオニーがネビルに、爪のあいだに入り込んだカエルのはらわたを取り除く呪文を教えているのを眺めながら、ミアとエイミーが言う。
「でも、スネイプ先生ってこれまでの闇の魔術の先生を、さんざん嫌っていて、はっきり態度にも表していたじゃない?でも、ムーディ先生に対しては、正面きって敵意を見せないように用心しているかのように見えるわよね?」
「スネイプ先生って、ムーディ先生のこと、少し怖がってるような気がする〜」
グリフィンドールの4年生は、ムーディ先生の最初の授業が待ち遠しく、木曜の昼食が済むと、早々と教室の前に集まり、授業開始の鐘が鳴る前に列を作っていた。
「いよいよね!」