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愛される少女【HP】

第81章 森の中


その言葉が終わらないうちに、バグマンがすぐ目の前の木の陰から現れる。しかし、3本の杖灯りから出る微かな光の中でさえ、バグマンの変わり様をはっきりと見て取ることが出来た。あの陽気な表情も、ばら色の顔色も消えていて、足取りには弾みがなかった。真っ青な顔で緊張しているようだ。

「誰だ?こんなところでみんなから離れて、いったい何をしてるんだね?」

そう言ったバグマンは、目を瞬きながら私達を見下ろし、顔を見定めようとした。私達は、驚いて顔を見合わせる。

「それは...暴動のようなものが起こってるんです」

ロンが言うと、バグマンはロンを見つめた。

「なんと?」

「キャンプ場です...誰かがマグルの一家を捕まえたんです...」

『早く行った方がいいと思います...』

「なんてやつらだ!」

バグマンは大声で罵ると、あとは一言も言わず、ポンという音とともに姿くらましをしてしまった。

「ちょっとズレてるわね、バグマンさんて、ね?」

ハーマイオニーが顔をしかめる。

「でも、あの人、すごいビーターだったんだよ」

そう言いながら、ロンは先頭に立って小道を逸れ、ちょっとした空地へと誘い、木の根元の乾いた草むらに座った。

「あの人がチームにいたときに、ウイムボーン・ワスプスが連続三回もリーグ優勝したんだぜ」

ロンは、クラム人形をポケットから取り出し、地面に置いて歩かせ、しばらくそれを見つめていた。私は、キャンプ場からの物音に耳を澄ませる。静かになっていた。暴動がおさまったかのようだ。

「みんな無事だといいけど」

しばらくしてハーマイオニーが言った。

『きっと大丈夫よ』

「そうだよ、大丈夫さ」

私に続いたロン。

「きみのお父さんが、ルシウス・マルフォイを捕まえたらどうなるかな。おじさんは、マルフォイを捕まえられるなら捕まえたいって、いつもそう言ってた」

ロンの隣りに座り、クラム人形が落ち葉の上を身を屈めながら歩く姿を眺めながらハリーが言った。

「そうなったら、あのドラコの嫌味な薄笑いも吹っ飛ぶだろうな」

私は、幼なじみであるドラコの話に、聞かないふりをすることにした。さっきはあんなことを言ってしまったものの、ドラコもルシウスさんも大切な人だから、複雑だったのだ。

「でも、あの気の毒なマグルたち。下ろしてあげられなかったら、どうなるのかしら?」

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