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愛される少女【HP】

第81章 森の中


「ロン、あなたのような人がいるから。腐敗した、不当な制度を支える人たちがいるから。単に面倒だから、という理由で、なんにも...」

ハーマイオニーは熱くなりはじめている。森のはずれから、またしても大きな爆音が響いた。

「とにかく先へ行こう、そうしようよ?」

ロンはそう言いながら、気遣わしげにチラッとハーマイオニーを見たのを、私は見逃さなかった。

『そうね、そうしましょう』

私達はまた歩き出す。暗い小道を、フレッド、ジョージ、ジニーを探しながら、私達はさらに森の奥へと入って行く。途中、ゴブリンの一団を追い越すときに、ゴブリンたちは金貨の袋を前に高笑いしていた。

キャンプ場のトラブルなどまったく気にも掛けていない様子。さらに進むと、銀色の光りを浴びた一角に入り込んだ。木立ちのあいだから覗くと、開けた場所に3人の背の高い美しいヴィーラが立っていて、若い魔法使いたちがそれを取り巻いて、声を張りあげ、騒がしく話していた。

「僕は、一年にガリオン金貨百袋稼ぐ。我こそは、'危険生物処理委員会'のドラゴン・キラーなのだ」

一人が叫んだ。続いて、その友人らしき人が声を張り上げる。

「いや、違うぞ。君は、漏れ鍋の皿洗いじゃないか...。ところが、僕は吸血鬼ハンターだ。我こそは、これまで約90の吸血鬼を殺し......」

言葉を遮った3人目の若い魔法使いは、ヴィーラの放つ銀色の薄明かりによってはっきりとにきびの痕が見えた。

「俺は、まもなくいままでで最年少の魔法省大臣になる。なるっていったらなるんだ」

ハリーは、それが聞こえた瞬間、吹き出し笑いをした。どうしたのかと聞こうとしたとき、私はロンの様子に気づく。ロンの顔が奇妙にゆるんでいたのだ。次の瞬間、ロンが叫び出した。 

「僕は、木星まで行ける箒を発明したんだ、そう言っただろ?」

「まったく!」

ハーマイオニーはまたかという声を出した。ハーマイオニーとハリーが、ロンの腕をしっかり掴み、回れ右させ、先を急がせるのに私は続く。ヴィーラとその崇拝者の声が、完全に遠のいた頃、私達は森の奥深くに入り込んでいた。私達4人だけになったようだ。周囲がずっと静かになっていた。

「僕たち、ここで待てばいいと思うよ。ほら、一マイル先からみんなの気配が聴こえるし」

あたりを見回しながら言ったハリー。

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