第79章 パフォーマンス
金貨をひと掴みハリーの手に押し付けながら、ロンが嬉しそうに叫んだ。巨大なシャムロックが消え、レプラコーンは、ヴィーラとは反対側のグラウンドに下りて行って、試合観戦のため、あぐらをかいて座る。
「さて、紳士淑女の皆さん。どうぞ歓迎の拍手を...ご紹介しましょう、ブルガリア・ナショナルチーム!...ディミトロフ!」
ブルガリアのサポーターたちの熱狂的な拍手に迎えられ、箒に乗った真っ赤なローブ姿が、遥か下方の入場口から競技場に飛び出した。あまりの速さに、その姿がぼやけて見えるほどだ。
「イワノバ!」
二人目の選手の真紅のローブ姿がたちまちのうちに飛び去った。
「ゾグラフ!レブスキー!ボルチャノフ!ボルコフ!そしてえぇぇぇぇぇ......クラム!」
「クラムだ、クラムだ!」
ロンが万眼鏡で姿を追いながら叫ぶ。それに少し笑ってから私も、万眼鏡で姿を追う。ビクトール・クラムは、痩せていて、色黒で、大きな曲がった鼻に、濃くて黒い眉毛の選手。育ちすぎた猛禽類のようだ。まだ18歳にはとても見えない。
「では、みなさん、どうぞ拍手を...アイルランド・ナショナルチーム!ご紹介しましょう...コノリー!ライアン!トロイ!マレット!モラン!クィグリー!そしてえぇぇぇぇぇ......リンチ!」
声を張り上げたバグマン。7つの緑色の影が横切り、競技場へと飛び込んで来た。ファイアボルトに乗った選手の背中にそれぞれの名前が銀の糸で刺繍されている。
「そして皆さん、はるばるエジプトからお出での我らが審判、国際クィディッチ連盟の委員長、ハッサン・モスタファー!」
痩せこけた小柄な魔法使いだ。ツルツルに禿げていたが、口ヒゲはある。スタジアムに相応しい純金のローブを着て堂々とグラウンドに歩み出て来た。
口ヒゲの下から銀のホィッスルを突き出して、大きな木箱を片方の腕に抱え、もう片方で箒を抱えている。モスタファー審判は箒に跨り、木箱を蹴って開けた。4個の競技球が勢いよく外に飛び出す。
真っ赤なクァッフル、黒いブラッジャーが2個、そして、羽のある小さな金のスニッチ。それはあっという間に飛びさり、見失なってしまった。ホイッスルを鋭く一吹きすると、モスタファー審判は、競技球に続いて空中へと飛び上がる。
「試ああぁぁぁぁぁぁい、開始!」
バグマンが叫んだ。