第78章 バクマンとクラウチ
私はふきださないように口を押さえる。フレッドとジョージは、飲みかけのお茶に咽せた。パーシーは耳元をポッと赤らめ、急いでヤカンを準備する。
「ああ、それにアーサー、君とも話したかった。アリ・バシールが喧嘩腰でやって来るぞ。空飛ぶ絨毯の輸入禁止について君と話したいそうだ」
クラウチ氏は、鋭い目でアーサーさんを見下ろした。深い溜め息をついたアーサーさん。
「そのことについては、先週ふくろう便を送ったばかりだ。何百回言われても答えは同じだよ。絨毯は、'魔法をかけてはいけない物品登録簿'に載っていて、'マグルの製品'だと定義されている。しかし、言ってわかる相手かね?」
「駄目だろう。我が国に輸出したくて、必死だから」
クラウチ氏がパーシーからカップを受け取りながら言う。
「まあ、英国では箒に取ってかわることはあるまい?」
そう言ったバグマン。
「アリは、家族用乗り物として市場に入り込める余地があると考えている。私の祖父が、12人乗りのアクスミンスター織りの絨毯を持っていた...しかし、もちろん絨毯が禁止になる前だがね」
クラウチ氏がまるで、クラウチ氏の先祖がみんな厳格に法を遵守していたということに、毛ほども疑いを持たれたくはないという言い方で言った。
「ところで、バーティ、忙しくしてるかね」
バグマンが快活に言う。
「かなり。5大陸にわたって移動キーを組織するのは並大抵のことではない。ルード」
クラウチ氏は愛想のない返事をする。
「二人とも、これが終わったらホッとするだろうね」
アーサーさんの言葉に、バグマンは驚いた顔をした。
「ホッとだって!こんなに楽しんだことはないのに...それに、その先も楽しいことが待ち構えているじゃないか。え?バーティ?そうだろうが?まだまだやることがたくさんある。そうだろう?」
「まだ、そのことは公にしないとの約束だろう。詳細がまだ...」
クラウチ氏は、眉を吊り上げてバグマンを見る。しかし、バグマンは、うるさいユスリカの群れを追い払うかのように手を振った。
「あぁ、詳細なんか!みんな署名したんだ。そうだろう?みんな合意したんだ。そうだろう?ここに居る子供たちにも、まもなくわかることだ。賭けてもいい。事はホグワーツで起こるんだし...」
クラウチ氏はバグマンの言葉を遮り、鋭く言う。