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愛される少女【HP】

第78章 バクマンとクラウチ


「バグマンさんに、そんなつまらないものをお見せしては駄目じゃないか...」

パーシーが口をすぼめて、非難がましく言ったが、バグマンはつまらないものとは思わなかったようだ。それどころか、フレッドから杖を受け取ると、子供っぽい顔が興奮で輝き、杖がガアガア大きな鳴き声をあげてゴム製のおもちゃの鶏に変わると、大声をあげて笑った。

「すばらしい!こんなにしっかりした杖を見たのは久し振りだ。私ならこれに5ガリオン払ってもいい!」

パーシーは驚いて、こんな賭け事なんかは承知できないとばかりに身体をこわばらせる。

「おまえたち。賭けはやって欲しくないね...貯金の全部だろうが...母さんが...」

アーサーさんが声をひそめてそう言う。

「お堅いことを言うな、アーサー!もう子供じゃないんだ。自分たちのやりたいことはわかってるさ!アイルランドが勝つが、クラムがスニッチを捕るって?そりゃ有り得ないな、お二人さん、そりゃないよ...2人に素晴らしい倍率をやろう...その上、おかしな杖に5ガリオン付けよう。それじゃ...」

バグマンは興奮気味にポケットの中身で音を立てながら声を張りあげた。バグマンが、素早くノートと羽根ペンを取り出して、双子の名前を書き付けるのを、ウィーズリーおじさんは仕方なく眺めている。

「決まり」

バグマンが寄越した羊皮紙メモを受け取り、ローブの内ポケットに仕舞い込みながら、ジョージが言った。

「ルイスの娘だったな?君はどうだい?」

私は遠慮して首を振ったが、バグマンは上機嫌を保ったまま、アーサーさんのほうに向き直った。

「お茶がまだだったか?バーティ・クラウチをずっと探しているんだが。ブルガリア側の責任者がゴネていて、私には一言もわからんのだ。バーティなら何とかしてくれるだろう。かれこれ150ヵ国語が話せるから」

「クラウチさんですか?あの方は、200ヵ国語以上話すことができます!水中人のマーミッシュ語、ゴブリンのゴブルディグック語、トロールの...」

身体を突っ張らせて不服そうにしていたパーシーが、突然堅さをかなぐり捨て、興奮でのぼせ上がったように言った。

「トロール語なんて、誰だって話せるよ。指差してブーブー言えばいいんだから」

フレッドがバカバカしいという調子で言う。パーシーは、フレッドに思いっきり嫌な顔を向ける。

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