第77章 移動キーと水汲み
ハリーの言葉に驚いてオリバーを見る。
「あぁ!」
『すごいわ、おめでとう!』
そこでオリバーとは別れた。次に出会ったのはハッフルパフの4年生、アーニー・マクミラン。それからまもなく、レイブンクロー・チームのシーカーでとても可愛い女の子、チョウ・チャンに出会った。
チョウはハリーに微笑みかけて手を振り、ハリーも手を振り返したが、水をかなり撥ねこぼして洋服の前を濡らしてしまった。私がくすくす、ロンがニヤニヤするのを何とかしたいと思ったのか、ハリーは大急ぎで、いままで会ったことがない同じ年頃の子供たちの一大集団を指差した。
「あの子たち、どこの子だろう?ホグワーツの生徒じゃないよね?」
「どっか、外国の学校の生徒だと思うな。学校が他にも有るってことは知ってるよ。他の学校の生徒に会ったことはないけど。ビルは、ブラジルの学校にペン・フレンドがいたな...もう、何年も前のことだけど...それで、ビルは学校同士の交換訪問旅行に行きたかったんだけど、家じゃ余裕がなくて。ビルが行かないって書いたら、ペン・フレンドがすごく腹を立てて、帽子に呪いをかけて送って寄越したんだ。お陰でビルの耳が萎びちゃってさ」
ロンの言葉に、ハリーは笑う。私達がやっとウィーズリー家のテントに戻ると、それに気づいたジョージが言う。
「遅かったなあ」
「いろんな人に会ったんだ。まだ、火を起こしてないのか?」
水を降ろしながら言ったロン。
「親父が、マッチと遊んでてね」
フレッドが答える。アーサーさんは、火を付ける作業がうまくいかなかったようだ。しかし、努力が足りなかったわけではない。折れたマッチが、アーサーさんの周囲に散らばっていた。そのアーサーさんは、わが人生最高のときという顔をしている。
「うわっ!」
アーサーさんは、マッチを擦って火を付けるが、慌ててすぐ取り落としてしまう。
「ウィーズリーさん、こっちに来てください」
ハーマイオニーは優しくそう言うと、マッチ箱をアーサーさんの手から受け取り、正しいマッチの使い方を教えはじめた。やっと火がつく。
しかし、料理ができるようになるには、それからさらに1時間がかかった。ウィーズリー家のテントは、いわば競技場への大通りに面していたため、魔法省の役人が気ぜわしく行き交っていた。通り掛かりに、みんながアーサーさんに丁寧に挨拶していく。