第74章 再び、ふくろう便
「ハリー。そっちの窓の外にいるもの、何かしら?」
そして、ハーマイオニーは突然そう言った。ハリーが振り向いて窓の外を見る。何か小さくて灰色のものが、窓ガラスの向こうで見え隠れしていた。それは小さなフクロウ。
小さい身体が、大き過ぎる手紙を運んでいるみたいだ。本当にチビのフクロウで、走る列車の気流に煽られ、あっちヘフラフラ、こっちヘフラフラしながら飛んでいる。
『フクロウね。危ないわ、落ちてしまいそう』
ハリーが急いで窓を開け、腕を伸ばしてそのふくろうを掴まえて、そーっと中にいれた。フクロウは、ハリーの席に手紙を落とすと、コンパートメントの中をブンブン飛び回りはじめる。任務を果たして、誇らしく、嬉しくてたまらないという様子だ。
ヘドウィグは気に入らない様子で嘴をカチカチ鳴らし、威厳を示した。クルックシャンクスは椅子に座り直し、大きな黄色い目でフクロウを追っていた。それに気づいたロンがフクロウをサッと掴んで、危険な視線から遠ざける。
「シリウスからだ!」
封を破り、手紙を開けたハリーが叫んだ。
「えーっ!」
「読んで!」
ロンもハーマイオニーも、興奮した様子。もちろん、私もだ。
'ハリー、元気か?君が伯父さんや伯母さんのところに着く前にこの手紙が届くと良いのだが。伯父さんたちが、ふくろう便に慣れているかどうかわからないから。バックビークも、私も無事隠れている。この手紙が、別の人の手に渡ることも考え、どこにいるかは教えないでおこう。このフクロウが信頼できるかどうか、少し心配なところがあったが、しかし、これ以上のが見つからなかったことと、このフクロウは熟心にこの仕事をやりたがったのでね。ディメンターがまだ私を探していることと思うが、ここにいれば、私を見つけることは到底望めないだろう。もうすぐ、何人かのマグルに私の姿を目撃させるつもりだ。ホグワーツから遠く離れたところでね。そうすれば城の警備は解かれるだろう。短いあいだしか君と会っていなかったので、話すことが出来なかったことがある。ファイアボルトを贈ったのは私だ'
「ほら!そうでしょ!ブラックからだって言った通りでしょ!」
ハーマイオニーが勝ち誇ったように言った。それにロンがすぐに切り返す。
「ああ。だけど、呪いなんかかけてなかったじゃないか、え?あ痛ッ!」