第2章 始まり
白い壁に白いカーテンに白いベッド。私が物心ついた頃にはこの光景が広がっていた。生まれた頃から心臓が弱く、最初は毎日来てくれていた両親も妹が産まれてからは忙しいと言って来なくなった。
最近は死期が近づいているとわかっていた。自分のことだからなのかわかる、なんとなくの直感だ。だが、なかなか来なかった両親が数日前にお見舞いに来たことを考えると、あながち間違ってはいないのかもしれない。
死期が近づいて思うことは、もっと愛されたかった,もっと生きたかった,もっとたくさんの人と話をしたかった,ということだった。
でもそれは私にはもう叶えることは出来ない。
『なんだか眠くなってきた』
だんだん襲ってきた睡魔に抵抗することなく目を閉じ始め、目が完全に閉じきる前になにか声が聞こえた気がした。
「その願い聞き入れよう」