第9章 君を守る為に
「ごめんね…?」
そう小さな声で言った私に
すばるくんは不思議そうな顔をして
「何が…?」
そう呟いて私を見つめる…
「私…
すばるくんと一緒にはいられない…」
「…それは何でなん…?」
「亮ちゃんを…ほっとけないから…」
「…………」
「私がついた嘘のせいで
亮ちゃん今すごく
傷付いてて苦しんでて……
それ解ってるのに
自分だけ幸せになんてなれない…」
だから今ここで私は
すばるくんとお別れをしなきゃいけない…
それは昨日
この部屋のインターホンを
押した時から
決めていたことだから
「ごめんね…すばるくん…」
覚悟を決めてベッドから
立ち上がった私の足は
「それでもええよ別に…?」
そんな予想外の言葉に
引き止められる
「それってどういう意味…?」
そう聞き返した私の背中を
「お前が亮をほっとかれへんことぐらい
最初から解ってたから…
やからそれでもええって
言うてるんやん…(笑)?」
なんて笑いながら
すばるくんはぎゅっと抱きしめて…
「お前が納得いくまで
亮の側におったらええよ…(笑)
ただちゃんとここに戻ってこい…
いつまでかかってもええから
お前の帰ってくる場所は
ここや…」
そんな力強い声が
身体中を包み込んだ…