第9章 君を守る為に
"痛いなら痛いっていえ…
辛いなら辛いっていえ…"
そんな俺の言葉に
みちは一瞬驚いた顔をしたあと
目にいっぱいの涙をためて
「痛い……」
そうぽつりと
消えそうなぐらい小さな声で呟く
「当たり前や…」
そう言って
絆創膏だらけになった足を
見つめてたら…
「すばるくん…?」
そう俺の名前を呼ぶ声がして
「ん…?」
なんて短い返事をして顔を上げると…
「一つお願いがあるんですけど…
聞いてくれますか…?」
なんてみちは
涙目でにんまりと笑う…
「そらなぁ…お願いによるわ(笑)」
「…今から私が言うことは
明日には忘れてくださいね…(笑)?」
「それ…どういう意味やねん…?」
「私…すばるくんが好きです…」
「…………」
「すばるくんが大好き…」
嬉しいはずの言葉
聞きたかったはずの言葉
それやのになんでこいつは
こんなにも辛そうに
その言葉を言うの…?
今にも零れそうなほど
溜まっていた涙が
みちの目から溢れだして…
唇からは苦しそうな
嗚咽が聞こえてくる…
「泣くな…」
そう言って
小さく震えている
みちの体を抱きしめたら
"好き…"
そう俺の胸の中でも
何度も何度も苦しくなるほどに
その言葉を繰り返す…
そんなみちの声を聞いてたら
なぜかこっちまで
泣きそうになって…
「もう解ったから…黙っとけ…」
そう言って
涙でぐちゃぐちゃな
みちの顔に顔を近付け…
みちの唇に唇を重ねた…