• テキストサイズ

秘密

第8章 わがままな想い


みちside

亮ちゃんから逃げるように

帰ってきた家の中…



苦しくて…

辛くて…

もどかしくて…



息がつまりそうになる…



亮ちゃんにも

すばるくんにも

自分自身にさえも



嘘をつき続けて


その先にあるものって

いったい何なんだろう…?




先が見えないトンネルの中を

一人きりで走り続けているようで


時々自分が今どこにいるのかさえ

分からなくなる…



真っ暗な部屋の中

ソファーの上で体を丸め

目をつぶり震えていると



不意に私の肩に手が触れ



「どうした…?

体調でも悪いんか…?」



そんな声が聞こえてくる…



ゆっくりと閉じていた目を開くと

心配そうに私を見つめる亮ちゃんの顔が

目の前にあって


心配をかけないように


「ううん…大丈夫だよ…(笑)

少し疲れちゃっただけだから…」



そう言って笑いながら

ゆっくりと体を起こすと





「ほんならええけど…無理するなよ?」



「うん…ありがとう…」



「じゃあ俺シャワー浴びてくるわ…」



「うん…」




亮ちゃんは私の頭を

優しく撫でてバスルームに

入っていく…




そんな亮ちゃんの背中を

ぼんやりと見つめながら




いつの間にか…


当たり前のように


嘘をつくことが出来るように

なってしまった自分に

気付かされて



苦しくて…

悲しくて…

もどかしくて…



息がもっと苦しくなった…
/ 82ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp