第8章 わがままな想い
すばるside
亮が楽屋にみちを連れてきて
俺の付き人やと
みんなに紹介した日…
"あぁ…やっぱりそうなんや…"
なんて意外にも
素直に亮の言葉を受け入れられる
自分がいた…
病院であいつが俺の手を
離し亮のところへ走り出した時
なんとなく
きっとあいつはもう
俺のところへは
戻って来んのやろなって
そんな予感がしてたから…
あの日楽屋の中で
俺と目が合った時
一瞬だけ…
ほんとうにほんの一瞬だけ…
俺に何かを言いたそうに
開いた唇は…
すぐに閉じられ
その日以来楽屋や現場で
会うことがあっても
あいつが
俺の目を見ることは無くなった…
相変わらず俺は
あいつの声がするだけで
反射的に姿を探してしまうけど
あいつがもう
泣いてないなら
おれが側におる必要は
もう無いんやななんて
なんだか他人事みたいに
そんなことを考えてた…