第7章 難しい恋
心の準備もできないまま
連れてこられた楽屋の前で
どんな顔をして
すばるくんに会えばいいのか
分からなくて扉を開けられずにいると
そんな私の手を亮ちゃんは掴んで
扉を開き中に入っていく…
「亮…話聞いて心配してたんやで…?
ケガは…大丈夫…
ていうか…あれ…みちちゃん…?」
なんて驚いた顔をして
私を見つめる章ちゃんに
「今日から俺専属の付き人やってくれねん。
ちゃんと事務所にも話通してあるから
みんなよろしくな?」
そう言って亮ちゃんは
私の手を握りしめたまま
みんなに私を紹介する…
「かわいそうに…
俺やったら絶対やりたないわ…
だって亮ちゃんせっかちやし(笑)」
なんて明るく笑う声を聞きながら
ふと視線を感じ
部屋の奥に目を向けると
何も言わず
ただじっと私を見つめるすばるくんと
目が合う…
「あ…」
そう喉から声を漏らし
すばるくんに近付こうと足を踏み出すと
そんな私を繋いだままの亮ちゃんの手が
引き止め…
私にだけ聞こえるように
顔を近付け小さな声で囁く
「行ったらあかんて…
みちは俺の右手やろ?」
そんな突然の言葉に驚き
動きを止めた私に亮ちゃんは
「それでいい…
みちはただ俺の側におったらええ…」
そう言って
優しくにっこりと微笑んだ…