第7章 難しい恋
私を抱き締めていた亮ちゃんの手から
だらりと力が抜けて
私にもたれ掛かるように
床に座り込んだ亮ちゃんの顔は
血の気が引いて真っ青な顔をしていて
「亮ちゃん…?」
そう名前を呼び腕に触れると
ヌメリとした感触がして
亮ちゃんの右肩から流れる血が
私の手を真っ赤に染める…
「な…んで…?」
そうぽつりと呟き
呆然とする私のほほに
亮ちゃんの血の気の引いた
冷たい手が触れて…
「大丈夫…やから…心配するな(笑)
お前はケガしてないよな…?」
なんて心配そうに
私をみつめる亮ちゃんと目が合う…
「ばか…じゃない…の?
何で…かばうんだよ…
私のために
ケガなんかしちゃダメなのに…
とりあえずすぐ救急車…」
そう言って震える手で
スマホを握りしめると
「救急車はあかん…
みんなに…迷惑が…かかるから…」
そんな言葉と一緒に
ほほに触れていた手から力が抜けて
亮ちゃんはゆっくりと目を閉じてしまう…
「亮ちゃん…亮ちゃん……!」
名前を読んでも
体を揺すっても
開くことのない目に
怖くてガタガタと震え出す体を
必死に抑え
溢れてくる涙をぬぐいながら
スマホを耳に当てた…