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秘密

第7章 難しい恋


ドン…ドン…ドン…ドン…


絶え間なく鳴り響く

扉を叩く音に恐怖を感じながらも


玄関の鍵を開け少しだけ扉を開くと

その小さな隙間に入り込む指が

扉を勢いよく開いて


亮ちゃんの彼女は

私を勢いよく突飛ばし

床に倒れこんだ私に


「亮を返して…!!」


そう叫び


小さくかたかたと怒りで小刻みに

震えながら睨み付けてくる…




「みち…大丈夫か!?」



大きな音に驚いて

急いで私に掛けよってきた亮ちゃんに


私を見つめる亮ちゃんの彼女の目が

大きく見開かれ


その目から涙が零れ落ちる…




「亮…帰ろう…?

亮の彼女は私でしょ…?

こんな嘘つき女の側にいちゃダメだよ…!」



そう懇願するように

亮ちゃんの手に触れる彼女の手を



亮ちゃんはやんわりと振り払い




「もう頼むからやめてくれ…!

嘘つきなんは俺も一緒やねん…

俺もずっとみちのことを…」



そう言いかけた言葉を



「やめて!!!」



そんな悲鳴にもにた

彼女の声が遮って




「あんたさえ…いなければ…」




そう小さな声でぶつぶつと呟きながら

彼女は鞄に手を入れると



中から

果物ナイフを掴んだ彼女の震える手が

現れる…




「ゆり…やめろ…?」


そんな震える亮ちゃんの声を聞きながら

目の前に迫ってくるナイフに




"あれ…私このまま…死んじゃうのかな…?"


なんてぎゅっと目を閉じた瞬間

私の体はふわりと何かに包み込まれて



ゆっくりと閉じていた目を開くと

私を抱きしめる亮ちゃんと


そんな私と亮ちゃんに背を向け


逃げるように玄関を飛び出していく

亮ちゃんの彼女の姿が


目に映った…。
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