第6章 すれ違い始める気持ち…
ずばるside
仕事終わりなんか無性に
みちの顔が見たなって
適当に惣菜やらビールやらを買い込んで
両手にスーパーの袋を抱え
マンションのインターホンを押してみたけど
中から返事は返ってこなくて
「何やねん…留守か……」
そう小さく呟き
ポケットからスマホを取り出そうと
した瞬間…
部屋の中から
ガタン…と小さな音が聞こえてくる…
恐る恐るドアノブに手を伸ばし
握りしめたドアノブを引くと
扉は抵抗することもなく
すんなりと開いて…
「みち…おんの…?」
そう声をかけながら
リビングの扉を開くと
真っ暗な部屋の中
体を小さく丸め床にうずくまる
みちの姿が目に映る…
そんなみちの側に
慌てて駆け寄り体を抱き起こすと…
浅い息を何度も繰り返し
息苦しそうに涙でぐちゃぐちゃな顔を歪める
みちと目が合う…
「何があったんや…?」
そうみちの体を抱きしめながら
問いかけると…
「す…ばるくん…?」
そう今にも消えそうな声が
俺の名前を呼ぶ…
小さくカタカタと震える体を
更にぎゅっと力いっぱい抱きしめて…
「俺がおるから…
もう大丈夫やから…
ちゃんと息しろ…」
そう耳元でそっと囁くと
みちは青白い顔で俺を見つめながら
何度も大きく空気を吸い込んだ…