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秘密

第5章 失う覚悟……


亮ちゃんに会えないこと

すばるくんが側にいること


その両方に

少しずつ慣れて

そんな日常が

当たり前になってきた日…



仕事から帰ってきて


お風呂上がりに

ぼんやりとテレビを見ていると


"ピン…ピンポーン…"


そんな聞こえるはずのない音が

部屋の中に響いて…


体がビクリと小さく跳ね上がる…



亮ちゃんのはずがないし…

期待なんかしない…



そう頭では思うのに

足は玄関に向かい走り出していて



ガチャガチャと荒い音を立て

玄関の扉を開くと

そこには



会いたくて

会いたくて仕方なかった

亮ちゃんが立っていて


今にも泣き出しそうな私の顔を見て

気まずそうに顔を背ける…



「亮ちゃん…ほんとにごめんなさい…」



あの日から何度も何度も

心の中で言い続けた言葉を

溢れてくる涙と一緒に吐き出すと…



「なぁ…

ほんとにお前…すばるくんと…?

ていうか…何で…あんな嘘…」



そう辛そうに顔を歪めながら

私の涙でぐちゃぐちゃな顔に

亮ちゃんの指先が触れて…




「ごめんね…ほんとにごめん…

ただ亮ちゃんの側に…

友達としてでもいいからいたくて…

ただそれだけで……」




「あほやなぁ…お前…

そんな嘘つかんでも俺は…お前と…」




そう言って

少し強引に引き寄せられた腕の中


亮ちゃんがの匂い

亮ちゃんの温もり



その全部が体を包み込んで

余計に涙が溢れ出してきて……



「ごめんね……?」



そう言ってまた泣きじゃくる私に



「もうええから…黙れ…」



亮ちゃんは

そう怒ったように言うと

私のほっぺたを両手で包み込んで



ゆっくりと顔を近づけた…
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