第4章 守りたい奴…
「はいはーい…どちら様ですか?」
そう言って開いた扉の先には
朝この家から送り出したはずの
すばるくんが立っていて…
「どうしたんですか…?」
そう言って立ち尽くす私を
「会いたかったからに
決まってるやんか…(笑)?」
そんな言葉と一緒に
ぎゅっと抱きしめる…
突然抱きしめられた腕の中で
「誰やった…?」
そんな亮ちゃんの声が
リビングから近付いてきて…
「あの…ちょっと待って…?」
なんて慌てて
すばるくんの胸を押し返すと…
「亮が…おんの…?」
そんな不機嫌な声が耳元で聞こえて
すばるくんは私の手をぎゅっと
痛いほどに握りしめる…
「あれ…すばるくんやんか(笑)?
どうしたん今日は?」
そんな亮ちゃんの声に
握られた手を振り払おうとするのに
すばるくんは握りしめた手を
絶対に離してはくれなくて
繋がれた手に気付いた亮ちゃんは…
「何で…?
何してんの二人とも…(笑)」
そう言って
顔に笑顔を残したまま私とすばるくんの顔を
驚いたように見つめる…
「これは…ちが…」
そう言いかけた言葉は
「違わへん…!
亮…俺こいつと寝たぞ…?」
そんなすばるくんの言葉に
かき消されて
「はぁ…?
何言うてんのすばるくん(笑)
だってみちは女が好きやって…
そうやろ…みち?」
驚きのあまりに
見開かれた亮ちゃんの目が
私を見つめる…
「…りょ…ちゃ…」
亮ちゃんの真っ直ぐな視線に
なんだか言葉が上手く出てこなくて
息さえも上手く吸い込めなくて…
何も言えない私に
亮ちゃんは顔から笑顔を消し
「何やねんこれ…?
何で…そんな嘘…ありえへんやろ…!?」
そう言って私から離れて行く
「ごめ…亮ちゃん…いかな…いで…!」
途切れ途切れになる言葉で
どんなに必死に叫んでも
亮ちゃんは振り返ることなく
玄関の扉は鈍い音を立て締まり
私の前から亮ちゃんは
いなくなった…