第4章 守りたい奴…
あんなことやそんなことを
やらかしてしまったことを
何一つ思い出せないのに
なぜか私に対するすばるくんの態度は
昨日までとは激変していて…
ベッドの中で私を抱きしめたまま
「お腹すいたから…何か作って…(笑)?」
なんて今まで聞いたことのない
甘えた声を出す…
あまりの激変ぷりに
「わ…分かりました…
少々お待ち下さい……(汗)!」
なんて声を裏返しながら
抱きしめられていた
すばるくんの腕から抜け出し
床に散らばる服を掴み
逃げるようにキッチンに
駆け込むと
猛スピードで冷蔵庫をあさり
ベーコンエッグやら…
サラダやら…
パンやらを用意して
テーブルに並べると
のそのそとベッドから出てきたすばるくんは
「頂きます…」
そう律儀にぽつりと呟いて
目の前のご飯を黙々と食べ始める…
そんななんだか妙に
かわいいすばるくんの姿を
コーヒーを飲みながら観察していると
「今日仕事は…?」
なんて不意に声をかけられ
「あ…ありますよ…?」
そう慌てて答えると
「ん…解った…」
そう短い返事をして
すばるくんはまた目の前のご飯を
食べ始める…
何なんだろう…
この何とも言えない
ほんわかとした空気は…(笑)
例えるならば…
付き合いたてのカップルが
初めて二人で迎えた朝的な…?
そんなことを考えて
一人可笑しくて笑っていると…
「何笑てんの…(笑)?」
なんてすばるくんは
不思議そうに首をかしげる…
なんだかすごく
へんてこで不思議な関係だけど
妙に温かくて心地いい…
でもこの関係は
一夜の過ち的なもので…
一歩家から外に出てしまえば
そこにあったことさえ忘れてしまうような
そんな関係なんだと思う…