第4章 守りたい奴…
どうして私はあんなことを
言ってしまったんだろう…(涙)?
今私の右隣には
にっこにこの笑顔の亮ちゃんがいて…
左隣には
笑うでもなく怒るでもなく
ただ目の前にあるお酒を
チビチビと口に運ぶ
すばるくんがいる…
この状況でお分かりの通り
私は何を血迷ったのか
あの状況で…
すばるくんの名前を
口走ってしまったんだ(涙)
言った直後に後悔に苛まれ
どうしようかあせる私をよそに
亮ちゃんは…
「すばるくんと飲みに行くん?
じゃあ俺も一緒に行ってもええよな(笑)」
なんて止める間もなく
ご機嫌にスマホを耳に当て出し
ついに私の嘘がばれるときがきた…
そう覚悟したのに
なぜかすばるくんは
私がついた嘘に何も言わず
今この場所に来てくれた…
"何故ですか…?"
そう聞きたいけど…
亮ちゃんがいるこの場で
そんなこと聞けるはずもなく
この気まずい並びで
お酒を飲むはめになったんだ…(笑)
この状況は確かにきまずい…
きまずいけれど…
でも久々に
亮ちゃんの顔が見れて
亮ちゃんの声が聞ける
それが嬉しくて
にんまりと微笑んでいると
そんな私を見ていたかのように
亮ちゃんのスマホが音を立てて
耳に当てた電話から
甘えるような女の子の声が
聞こえてくる…
「今…?今はちょっと無理…
ん…?うん…解った…すぐ行くわ…」
あぁ…これは
あの嫉妬深い彼女からの電話で…
亮ちゃんは彼女の所へ
行ってしまうんだ…
そう思うとなんだか泣きそうになる…
でも必死に顔に笑顔を張り付け
「彼女からの呼び出しでしょ…(笑)?
お気遣いなく行ってきていいよ(笑)」
そう申し訳なさそうに下を向く
亮ちゃんに言うと…
「ごめんな…?
なんかどうしてもって聞かへんねん…」
そう言うと亮ちゃんは立ち上がり
お金を置いて
一度もこちらを振り返ることなく
店を出ていってしまった…