第2章 彼等は恩人
「その本は……苦手なんだよ」
「どういうこと?」
ゾロに疑問を投げかけたが返事は返ってこなかった
言いたくもないらしい
「……となれば」
何に原因があるんだろう
舞台はヨーロッパ、内容は刀で襲いかかる相手をおさえつけたり、時には推理もする
……いや関係ないだろう
となれば出演者?
ヒロインは幼馴染み、主人公に思いを後に抱く……刀使い
幼少期主人公に余裕で勝つも成人後に救われ主人公に付いていく
そして途中さっきの官能的な内容にはいった
「……君の歴史を見た方が早いかな」
「!!」
ハナは情報を得るため、ゾロの歴史を見ることにした
「お前やめっ……!」
「歴史閲覧……」
時既に遅し
ハナはゾロの歴史、主に子供時代を見た
トラウマとなればだいたいは感受性豊かな子供時代だろう
「この子は……?」
幼少期のゾロが倒れる、目の前にショートカットの……女の子?!
いやこの子男の子皆倒してる……
ゾロの言葉の中に名前らしき単語があった
「彼女は……くいな」
「おい!何勝手に__!」
「階段、彼女……あれ?死んで__」
ゾロはくいなと約束をした翌日、彼女は階段から落ちて__
「やめろ!!」
「っ!?」
気づけばゾロに胸ぐらを掴まれていた
微妙な息苦しさ、彼の必死な顔に荒れた呼吸、私がしでかしたことに気づいたのはそれを見てからだった
「ゾロ……」
「お前な……!」
「やめて、……ゾロ!」
「っ!わりぃ」
ゾロはハッとして我に返り、ハナの苦しそうな顔が目に映った
すぐに手を離す
「っはぁ……はあっ…ゲホッ」
「……っ大丈夫か!?」
空気が入り頭が絞められていく感覚がほどけた
ハナの胸元の服はしわくちゃになっている
さっきまでハナが読んでいた本は乱雑に放り投げられページが少し傷んだ
でも何であれ、ゾロの読んで欲しくなかった理由がわかった
あの本のヒロイン、ゾロの歴史に出てきた くいな にソックリだ
ただ内容が官能的になり嫌いだったんじゃない
約束し男も女も関係ないと言った相手に似たヒロインを
__襲うような主人公にのめり込んでしまったんだ
「……後悔、したの?」
「……は?」
「ゾロは、そんな主人公にのめり込んで、後悔したの?」