第2章 彼等は恩人
ゾロは一瞬 顔を歪ませたがすぐ切なそうな顔に戻り、
「……あぁ」
とだけ、答え俯いた
確かにそうだった。
その本は確かに傷んでいたのは官能前までのページだけだった
でも……読んだ形跡のあるページは
__ヒロインを襲いきったページまであったから
襲いきったページに汗の跡があった
1回、多くて2回ほど読んだんだろう、そしてゾロは後悔した
「……その、ごめん」
「……?」
ゾロは謝罪に理解できず顔を上げて固まるままである
ハナは続ける
「私がどれだけ気になったからと言って、人の歴史を許可なく見たのはリテラシーが無かった。
……今更だけど、ごめん」
「……」
私は気付かぬうちに自分を過大評価していたんだ
私は歴史を見ることが できる だけであって、
自由 に見ていい わけではないんだ。
「その、私にもっと仕返しがしたいなら自由にしてくれて構わない。殴るも蹴るも……自由にしてくれ
__それとも、そんなこともしたくないか」
自分を嘲るようにハナは言った
ゾロは黙って聞いている
暫くするとゾロが顔を向けてくれた
「あ……」
「……その、見ちまったもんは仕方ねぇし もういい
俺だってお前ならそうしてただろうしな……」
ハナは黙って話を聞いた
「……理由をわかってくれたならもういい、でもそれはフェアじゃあねえ、だから」
ゾロはハナの肩をぐっと掴んだ
「!!」
「お前の__歴史を見せてくれ、ハナ」
ハナの口から震えた言葉が漏れた。
尚もゾロは真っ直ぐハナを見つめる
「私の歴史を……」
「あぁそうだ、お前の歴史だ。」
心臓の音が煩いくらい頭に響く
呼吸も速くなる
私の歴史を見ても、彼は笑わないでくれるだろうか
幻滅しないでくれるだろうか
「幻滅するよ、私の歴史は」
「しない、お前は笑わなかっただろ、だから」
ハナはキュッと口を固くしめた
怖い、でも私は初めてゾロにならいいと思えた
歴史を見せてもゾロはきっと大丈夫だと思いたい
ハナは手を固く握りしめる
「……わかった、私の歴史を見せる。
ゾロ、手を貸して」
「?ああ」
ゾロは手を差し出す
ハナは包み込み
「ごめんね、ゾロ」
ハナはそういった