第2章 彼等は恩人
「本当にレキレキの実は……」
「!」
サンジが何かを言いかけた時、
ハナは咄嗟に能力を使ってしまった
「っ!?」
サンジは勿論対応出来ず、その能力の力を真に受け
かくん と壁にもたれてそのまま動かなくなる
ハナは呼吸を荒らげ必死に気を正そうとする
「うそ、あぁ、いや……ごめんなさい」
ハッとして自分の行動に後悔する
しまった、サンジに……!
「サンジ?!ねぇサンジ!!しっかりして!
__サン……」
「……すぅ」
肩を揺さぶっていた手を緩め離した
良かった、息してる
今、過呼吸になった……ってことは
「寿命……5秒減少、か」
多分それくらいだろう
きっと今の力だけでそれくらいは減ってる
「……最悪」
なんでこうも過敏になるの自分!
確かに私の説明にはわざと言ってない部分もあった
だって言えない、言えないじゃないか
力を使う度に自分の寿命が少しずつ減ること
そして
「__私が……誰かの寿命を得て生きてるだなんて」
残酷なことをしているのを、
それを見ないフリしてるのを
言えないよ
「……恐がられたくない」
スルリとサンジの肩から手を滑らせて
胸へいく
鼓動は遅い
「大丈夫、気絶しただけ……」
美しく眠る彼の横にあるグラスと自分のを持ち、
ハナはキッチンへ向かった
歩く最中に自分のグラスに残ったお酒を飲み干した
……うん
甘すぎず、
かといって苦すぎずも辛過ぎずもない
__なのに美味しい、理由もわからない
「……名前、とてもいいんだろうな」
明日することがたくさん増えたなぁ
誰にも見られていないといいけど
青キジの言葉が身に染みる
『アンタのやってきたことの方が
よっぽど悪趣味だと思うが』
そうだね、青キジ
私は最低でどうしようもなかった
だから__
逃げ続けた敵である筈の海軍に加担して生きて伸びている
ゆっくりキッチンの戸を開けて、
ハナは彼を後にした。
キッチンは寝息と扉の音が響いた
…
「__ん?」
突然、ゾロの目が覚めた
周りには……仲間の酔いどれて寝てしまった姿
……そして酒臭い
「ったく、全員ボロボロじゃねぇか……あ?」
目覚めてぼやけた視界にアイツが映った
ハナだ
なんでアイツだけ起きてる?