第2章 彼等は恩人
サンジの声が二重になって聞こえた
どこかで言われたような、そんな感じに
「……」
ぽかんとするハナをみてサンジはハッとする
俺だけ熱くなりすぎたんじゃないか、と
「……って俺熱くなりすぎたかな!ハハ!
だけど、真面目な話……なんだろ?」
「……あ、あぁ」
そして
ようやく言われたことに自覚したハナは顔を赤らめた
「ありがとう……」
言われ慣れてなかったので、
ハナは顔を真っ赤に染め上げたのだ
まるで林檎のように
サンジは赤らめたハナをみて吹き出す
「っぶは ハナちゃん面白いな」
「なんで!」
「だって顔が林檎みてぇに真っ赤に……本当可愛いなぁハナちゃんは」
さらりといいのける彼に
「かっ、可愛いとか言いなれてるのはそっちでしょ!」
「本当にかわいいぜ?俺はレディに嘘はつかねぇ」
「サンジさんはキザ過ぎる……」
はぁ……とため息つきながら
顔を手で覆う
サンジはそんなハナをみて、ますます悪戯したくなる欲をぐっと抑えた
「……さっきから思ってたんだが、別に呼び捨てでいいんだぜ?」
ぴっと親指でサンジは自分を指した
ドヤ顔に少し腹が立つが、笑えてもくる。咳払いを一つして気持ちを整理した
「……ごほん
恩人になった今呼び捨ては出来ないよ」
「なんだそれ……島では呼び捨てだったのにいいじゃねえか
俺なんか昔恩人に向かって、クソジジイって言ったんだぞ?」
「く、クソジジイ?!」
こ、この王子みたいな人がそんな言葉を使うの?!
「ひでぇモンんだ、俺のことチビナスって言いやがる……
__どうせ今日も呑気に暮らしてるさ」
そういう彼の目は冷たくなくて、
親のことを思う子のような目をしていた
「……ほう」
ちょっとそのクソジジイさんに興味が湧いた
また今度彼の歴史を覗かしてもらおう
そう思ったハナであった。
「まっとにかく
俺のこと、野郎共にナミさんにロビンちゃん……
ハナちゃんは軽く呼び捨てで呼ぶといいと思うぜ
まっその方が堅苦しくなくて俺達もいいな!」
ナミさんとはなんだ、さん付けしてるじゃないか
そんな返しをしたくなったが彼の本心だ
素直に受け入れることにした
「……わかった、恩人がそういうならそうすべきだね」