rain of conflict【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of conflict
胸の内に持つ良心がもしもあるとすれば、たとえあったとしても痛むことはないだろう。
それがナッシュという男だ。
平気で相手が傷心してしまうような言葉を並べ、名無しの自尊心をいとも簡単に砕き、抉ってゆく。
言うなれば自涜を強要されている状況だ・・・断れば言葉そのまま、今すぐ出て行けと彼は唱える。
名無しはナッシュの発言ひとつひとつを、必死に、確かに脳内で処理したけれど、どうしてもそれが追い付かずに唇を噛み締めた。
グロスやリップ、紅の乗っていなくとも、赤いその部位を噛む度に最近は思う。
ナッシュに蔑まれる度、彼に触れて欲しい身体の部位ひとつひとつに火が灯っていたことを――。
「・・っ・・・・」
「!・・・・フッ・・」
「――・・・っ・・は、・・・ァ・・」
数日空けるだけで耐えられなくなっていた。
それを一ヶ月など・・・考えただけで気狂いしてしまいそうだ。
こんなこと、口にはとても出来やしない。
とはいえ当然の様に、ナッシュは既にそのことにも気付いている。
飼い殺されたいとまで思考する自分のその気持ちと、どれだけナッシュの存在が、誰よりも何よりも今はもう大きいかということ。
おかしくなるくらいなら、ここで恥辱を受け、そのまま果てて快楽を得た方が幾何もましに思えた。
名無しはつま先をピンと伸ばすと、利き手で下肢を弄り、静かに潜む芽にそっと指を宛がった。