rain of conflict【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of conflict
「・・・・・」
指先で触れた裾の部分。
そこを引っかけて手にすると、名無しは自分の手元にナッシュのそれを引き寄せ、ベッドの上で正座の崩した、ぺたんとした体勢を作り座り込んだ。
トップスを両手に抱えてみて、サイズ感というか、元々ゆとりのある形状ではあるものの、とにかく大きいという感想を率直に思う。
ナッシュが恵まれた体躯なのだということも改めて感じた。
「・・・・・」
6フィートそこらの身長は、あの球技をやる上ではもしかしたら物足りない部分もあるかもしれない。
けれど名無しにとっては充分過ぎる程の高さなのだ。
何をされるにしても、事足り過ぎていた。
見下ろされることも、抱擁も、そしてセックスも・・・そのあとに背後から抱き締められて、目を閉じて眠るには、申し分などこれっぽっちもなかった。
「・・・ナッシュ・・」
名無しが手に持ったナッシュのトップスは洗われていた後のようで、その生地からは微かに石鹸の匂いが香っていた。
新鮮に感じ、そして緊張を覚えてしまったのは、初めて鼻を掠めた匂いだったからかもしれない。
考えてみれば、自分は別に、この服に身を包んだナッシュをまじまじと見たわけでもなかったし、プレイスタイルは愚か、コートで走る姿さえ気にしたことはなかった。
この部屋に居ても感じるのは、今はもう心地よく感じる彼のシャンプーとコロンの香りだけ。
抱かれれば汗ばんだ匂いが混ざり、それがまた絶妙に高揚心を擽った。