rain of conflict【黒バス/ナッシュ】
第1章 rain of conflict
「・・・・!・・・あ・・」
腰を震わせて立ち上がれなかった名無しのことを、ナッシュはいつも笑っていた。
名無しに合わせることもなく、自分のペースで行為のあと一人シャワーに向かうあたりも、実に彼らしかった。
ベッドの上で置いてけぼりにされても名無しがいじけた態度をとらないのは、ナッシュがいつも起き上がる度、彼女の額にキスをしていたからだ。
頻繁に肌を重ねるようになってからはよくされるようになった・・・それは本人も無意識のうちなのか、それとも狙ってのことなのか。
愛情表現か否か・・・。
どのみち悪い気持ちにはならなかったから、黙ってベッドの上でいい子にしていようと自然と思えたのだ。
ナッシュの機嫌がよければ、また抱いてもらえるのだから。
「これ・・・・。ナッシュの・・」
ふと、天井を見ることに飽き飽きとし、性交のあいだ痙攣していた、一糸纏わぬ身体をゆっくりと動かす。
時々寝返りを打ちながら、名無しはそのとき、ナッシュの部屋のある場所に目を向けた。
それはローテーブルとセットだったソファは肘置きの部分。
そこには、彼のチームのユニホームが乱雑に置かれていた。
「・・・・・ッ・・・」
ソファにあったのはトップスだけだった。
手を伸ばす前でも分かったのは、その大きさだ。
名無しはそこで、自分は怠さでベッドに寝転がっていたというのに、頭の中ではもう既に手を伸ばす前提で物事を考えていたことに我に返った。
声を出すでもなく、唇を少し噛むだけ・・・けれど、やがて名無しはゆっくりと身体を起こすと、ベッドの上で四つん這いになり、一考した通りトップスに手を伸ばした。