第3章 浅葱色の哀愁
「うっ…そう言われると反論できないんだけど…
…でもさ! 後任は誰にするの?」
ほぼ思いつきに近い交代だから、後任もすぐには思い浮かばない
近侍の仕事は多くて大変だから、最近来たばかりの短刀達には難しいかもしれない
骨喰は今の面々の中では割と古株に当たるけど、自身の兄弟を含め短刀達の世話を任せっきりにしてしまっている分、これ以上は申し訳ない
「ね? やっぱり俺にしかできないから俺が…」
「僕でよければ引き継ぎますよ!
僕は兼さんの相棒で、根っからの助手ですからね
お手伝いなら任せて!」
「は!? おまっ…」
清光の言葉を遮って名乗り出たのは堀川だった
堀川も最近来たばかりだけど、覚えが良くてしっかりしているし、清光と同じくらい仕事をこなしてくれるかもしれない
見張りと看病でどのみち清光にはつきっきりだから、仕事も引き継ぎやすいだろうし…
「じゃあ、清光の怪我が治るまでは堀川に代わってもらおうかな?
それでいい? 清光」
「…主が言うなら仕方ないじゃん
でもこんな傷さっさと治すからね」
「それじゃあ主さん、失礼しますね!」
ふて腐れた表情の清光を堀川がぐいぐいと引っ張りながら部屋へと戻っていく
その様子は見ていてなんだかおかしくて、残された私と前田は顔を見合わせて笑った