第3章 浅葱色の哀愁
(あなたside)
部屋を吹き抜ける風が髪を揺らし、若葉が色づく庭からは鳥がさえずる音が聞こえる
陽は大分昇ってしまっているけれど、短刀たちはみんな起きただろうか
なんて気にかけるのはいつものこと
そう、いつもと何も変わらない
「まだ、目を覚まさないの? 清光…」
いつもそばにいてくれた彼の声を随分と聞いていないことを除けば
「主様、昨晩もお休みになられなかったのですか…?」
「こんのすけ…」
「先日私がこの本丸を出てからずっと加州殿につきっきりだと、骨喰殿から伺いました
主様が倒れてしまっては元も子もありませんよ」
「そうなんだけどね…どうしても」
こんのすけと同じことを昨日骨喰にも言われた
十分に治療したから後は目を覚ますのを待つだけなんだけど、片時も側を離れたくない
「それで、どうだった?
政府のところに行ってたんでしょ?」
「はい、ここでよろしいですか?」
「うん」
あの日、清光が気を失ってすぐに骨喰達が駆けつけてくれて、帰城後にみんなの治療が終わったのを見届けてからこんのすけは政府への報告へ向かった
帰ってきたということは、政府の判断が下されたということだろう
「結果から申し上げますと…
この本丸の運営続行は認められました」