第1章 出逢い
「ですがあくまでも軽い戦闘に耐久できる程度の強度で、見かけを本来の姿に似せたにすぎません
完全に直すためには加州殿自身が本来と同等の記憶を取り戻す以外に方法はないかと思われます」
「…そっか」
でも、記憶を取り戻すためにはどうしたらいいんだろう
新選組や沖田総司の名前を耳にしただけであんなにも取り乱してしまうのに…
「私個人の見解としては、無理に記憶を呼び覚ますようなことはするべきではないと考えます」
「うん、私もそう思う」
「ですのでひとまずこの1ヶ月間、手入れした加州殿と共にできる限りで任務に当たっていただけますでしょうか?
1ヶ月後に無事に審神者続投を認められましたら、その時に対処を考えましょう」
「分かった
機会を作ってくれてありがとう、こんのすけ」
「いいえ、礼には及びません」
そう言ってこんのすけが笑ったと同時に、台所から声が響く
「主ー! お昼ご飯できたよー」
「あっ、清光! ありがとうー!
清光がお昼作ってくれたみたい、こんのすけも一緒に食べよう」
「はい!」
こんのすけと共に部屋から出て清光の元へと向かう
この日が私の審神者生活のスタート地点で
縁側に注ぐ穏やかな日差しがそれを後押ししてくれるようだった