第4章 浅葱色の哀愁(2)
(清光side)
「兼さん差し置いて、僕が隊長でいいのかなぁ…」
「いや、その兼さんはうちにはいないからね」
根っからの助手気質の堀川が、到着した途端に呟く
俺たちの周りには、だだっ広い荒野が見渡す限り続いている
「いやぁー! こがーに広いんか、関ヶ原は」
陸奥守が感嘆の声をあげるのも無理はない
史料で見て想像していたよりも広大な土地
ここがあの安土桃山時代の関ヶ原か
「小夜、出陣の前に主から指令書預かってたよね?」
「あぁ…今回の任務は
『関ヶ原の戦いに潜入し、時間遡行軍を制圧、東軍勝利の歴史を守ること』」
「東軍勝利…それが今回の正しい歴史か…
で、編成が…」
「隊長が僕、堀川国広
隊員は加州さんと、小夜さん、陸奥守さんに…ええっと…?」
一同の視線がある一振りの刀に集まる
それはそいつが見慣れないやつだからというだけではない
純白の衣に透き通るような銀の髪と金の瞳
その淡く儚い美しさには誰もが惹きつけられるだろう
「おっと…何もしていないのに驚いた目を向けられたのは初めてだな
俺の名は鶴丸国永だ
平安時代に打たれてから、主を転々としながら今まで生きてきた
ま、それだけ人気があったってことだなあ」
鶴丸…その名と彼の容貌はぴったりと合い、真白な衣は鶴の体そのもののよう