第4章 危機感 ☆
私は見慣れない場所にいた。
一面真っ白なのに対して床だけは畳になっている不思議な、部屋。
こんな部屋があったのだろうかと周りを見ていると部屋の隅に人影が見えて目を凝らしてよく見てみるとそこには小狐丸さんがいた。
顔見知りの彼がいて安心した私はすぐに小狐丸さんのそばまで歩み寄った。
「よかった。私一人だけなのかと思いましたよ」
知らない場所に一人でいるのは不安なので小狐丸さんがいて安心したと話すと彼は私の髪を優しく撫ではじめた。
少し驚いてしまったが優しげな瞳をしていたので、好きなようにさせようと目を閉じる。撫でるくらい減るものでもないし、これで小狐丸さんが満足してくれるのならいいか。
すると小狐丸さんの手は髪から頬へ、そして首筋へと手が下がっていくと胸元辺りで手が止まり……
小狐丸「ぬしさまには私とのやや子を孕んでいただきたい」
やや子……は、孕む?
え、えっ!
巫女装束を乱し私に覆い被さってくる小狐丸さんに私は……
「あ、赤ちゃんはまだ早いんです!」
?「あ、主……?大丈夫、かい?」
「え……」
突き飛ばす勢いで両手を前に出したがそこには誰もいず横には見慣れない緑の人がいた。
あれ、この人……
「あの、どこかでお会いしましたか……?」
?「さぁ……どうだったかな」
不思議な懐かしさを感じて私らしくないことを聞いてしまったが、勘違いなのだろうか。
「あ、ここは……?」
?「あぁ、ここは君がいたところの隣の部屋だよ」
私がいたところの隣……なぜここにと考えるまでもなく悲しいことに私には記憶があった。
あの場での、出来事を。
「ぁ、うッ…あ、えッ…」
?「だ、大丈夫だから落ち着いて。あ、私は石切丸……彼らとしたことは、もう忘れた方がいい」
「そんな無茶な!」
石切丸という人は私のことを考えてそう言ってくれているのだろうが、あんな出来事を寝て忘れられるわけがない。
あんな……あ、んなっ!