第47章 怒られた
「あの、私も…自分勝にぇ…!?」
明石「自分、あまりにもネガティブとちゃういますか?」
「ふへ…」
なにかを察したのか明石は私の両頬をつまむ。
ここの人たち、すぐ人の頬をつまむ…叩かれるよりいいけど。
明石「自分は可哀想とか言ってる悲劇のヒロインもいいとこですわ」
「誰も悲劇のヒロインになった気は…いててっ!」
燭台切「あ、明石くんそれくらいに…」
明石「いやですわ。この阿呆なんとかせんといつまでもぐずぐず言いはるし」
「い、いはいいはい!」
ぺちぺちと明石の手を叩くとなんとか離してもらえたが頬がヒリヒリ痛んで若干涙目になる私。
ここまですることないのに…。
痛む頬に触れて、むぅっとすると明石はめんどくさそうにため息を吐いて……寝転んだ。
「人様のほっぺたに痛い思いさせてなんでしょーね。そのご態度は?」
明石「アホらしくなりましたわ。いつまでも後ろ向きな、なっさけない主に仕えるとも思うと…しんどいですわ」
後ろ向き……。
つまりはいつまでも過去に囚われずに前を見ろ、と言っているのだろう。
過去……前任はもういないのだから気にするなってことなのかな?
明石が何を伝えたいのか私にはまだ理解できないがきっと悪いことではない。冷たく聞こえることでも私のことを考えて言ってくれていることなんだろうし、考え方によってはとても温かく思える。
「明石……ごめんね情けない主で」
明石の身体に触れて少し揺さぶるも明石は私の方を見ようとはしない。
怒らせてしまっただろうか……。
燭台切「主……」
「だ、大丈夫です。明石の言う通り後ろ向きなとこはいけないと思ってます。私はみんなの主なんですからもっと前向きに明るくいなきゃですね」
そうだ。
前任のことは気になるし、彼らの優しさを疑うようなことをしてはいけない。
また間違えてしまったな。