第2章 仲間
「ん……」
長谷部「お目覚めですか主っ!」
「え、っと……あぁ、へし切さん」
嫌な夢を見た。
苦くて痛くなるようなそんな夢……けど、へし切さんの元気そうな姿を見れて夢のことなんてどうでもよくなった。
「元気そうでよかった。他のみんなは?」
長谷部「あいつらは他の刀剣を探しに行きました。主、加州や燭台切から聞きました。俺のために力を使って倒れたと……」
「あぁ、へし切さんが原因とかそういうのではないので気にしないでください。初日で無理しすぎただけなので。それよりも私のこと主と呼んでくれるのですね……?」
長谷部「当然です!主は俺を癒してくださった……前の主にはされなかったことを……あなたはしてくれた」
手入れをするのは当然のことなのに、利用するだけして労ることもしなかったなんて本当に前任はひどいことをする人だったんだな。
長谷部「それも、とても特別なやり方で手入れをしてくださったと聞きました……俺を助けるためにっ!」
「へし切さんは重傷だったので、早く治すにはああした方がいいと思いまして……」
やったことは、通常なら許されないことだろうけど。
感動しているといったような反応を見せるへし切さんを見ているととても心が暖かくなった。
私にも人を喜ばせることができるんだ。
そう思うと嬉しいな……。
「でもごめんね。緊急時とはいえ、あんなやり方で……」
長谷部「俺は詳しく聞いてないのでどんなものかわかりませんが……嬉しかったですよ主。あ、俺のことは長谷部とお呼びください」
長谷部、さん。
どうしよう、とても感謝されているのが伝わるのに、自分がやられたことを知らないなんて……まあ、あの二人もキスされてたよ、なんて本人には言わないだろうけど……これは秘密にしておこう。