第1章 始
靴は履けないので、とりあえず一ヶ月ほどお世話になったのを考えると礼儀として一度下駄箱に戻してからお礼を兼ねて手を合わせておいた。
念のため持ってきていたサンダルを鞄の中から出すとそれを履いてから上履きは靴いれの使われてない場所にいれて帰りたくもない家に帰ろうと歩き出す。
これからあの家に帰るんだと思うと足が重くなり歩く速度もゆったりとしたものになっていく。家や学校に居場所がない私ではあるがなんだか今日はすごく疲れてしまった。
どうせ家に帰っても誰もいないし、親がたまに帰ってきたなと思ったらテストを見て決まって怒鳴ってくる。
全教科九十点以上必須。
いや、無理でしょう。
私の頭は優等生のように出来がいい頭じゃないのだから。
せめて平均点より少し上、くらい言われれば頑張れるのに出来の悪い頭で高望みなんてするものではない。
いじめというイタズラについて先生に相談しても無視、それどころか鼻で笑われる。
教育委員会に言ってやろうかと何度思ったことか。
だがそれをすると親だのなんだのと小さい話が大きい話になって家の恥とかいろいろ言われた挙げ句、ひどいことをされるだけで私に得はない。
人生うまくいかないものだって誰かが言ってた気がするけど私の人生はいつだってエクストラモード。
難しすぎて嫌になる。
それともあれかな。
私が悪いのかな?
勉強は頑張っているし、人と話すのは苦手とはいえなるべく目立たないように生きている。
ちょっと人付き合いが悪いだけなのに学校ではあんなイタズラをされて、本当なんなのかな。
役立たず、いらない、無能、生きてる価値がない、何で生きてるの、死ねば。いろんなことを両親や先生、クラスメイトから言われてきたが、もう疲れたな。
学生の身で何言ってるんだって、本当につらい人に怒られそうではあるけど人それぞれ個人差があるのだ。
まだ耐えられると頑張る人もいれば、私のようにもう疲れたと諦める人もいる。
だから人生に幕を下ろそうとする私をどうか責めないで。
最後くらい、誰にも咎められずに静かに逝きたいのだ。